令和4年度会長所信
令和4年度スローガン 『 継 往 開 来 』 ~ noblesse oblige 地域経済の創生 ~

新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの人々の生活が一変し、経験したことのない社会状況の中で、人々の行動が変容し、価値観までも変えるという状況に我々は立たされました。ワクチンや服用薬の普及によりこの困難を回避できる兆しも見えて来ています。つまり今は社会的転換点に立っているのではないでしょうか。今後起こりうるであろう行動変容は、新たな市場を創造し、人々の価値観までも変える可能性を秘めています。その中で何かが起こるのを座して待ち、現れる課題に対処するのではなく、今後起こりうるであろう課題を予測し、未来を創る必要があるのです。予測をする最善の方法は自らの手で未来を創ることだと考えます。
商工会議所青年部の最大の目的は、事業の発展と豊かな地域経済を築く事です。先ず広く経済を捉えるとグローバル資本主義による経済成長に陰りが見えはじめ、グローバリズムからローカリズムへと目が向けられています。ビジネスにおける価値基準は、社会課題の克服への貢献や地球規模での持続可能性の追求を目標とする「SDGs」へと向いています。新型コロナウイルスのパンデミックは図らずもこのビジネスの方向性と価値基準の変化を急加速させました。つまりは経済効率優先だった一極集中の「都市集中型社会」から地域の中で資源や資本を分配し雇用を生み出し、経済を循環させる「地方分散型社会」へと向かうこと、その時には必ず人・物・金・情報が動き出します。地方で活動する我々にとっては事業や街の様々な状況に影響を与えます。これはチャンスであり、我々の出番であるという事に他なりません。勇気を持って踏み出す事で未来を創り出す事ができると確信しております。
また、本年は30周年という節目の年です。この歴史の中には親会である八千代商工会議所や地域企業の皆様と歴史を紡いできた諸先輩方の貢献があったからこそ今の我々があります。感謝の念と共にこれからの我々の存在意義を示さなければなりません。私の掲げるnoblesse obligeとは、地位や意識の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという道徳観です。青年部として社会的転換点をむかえているこの街に地域経済へ積極的に関わり、行動を起こせば何かしらの反応が起きるはずです。その経験を元に新たなビジョンを定め、未来を創り上げる事が青年部の義務ではないでしょうか
この未来を創る為には、地域経済の先駆者でなくてはなりません。己を磨き事業の発展なくして語る事はできません。「守破離」の格言のように基本を守りつつも努力や応用し殻を破り、新たな境地へと向かう事は成長となり過去から離れる事となるのです。我々を取り巻く経済環境は目まぐるしく変化をしています。過去から学び知識や情報を得る事は明るい未来に繋がると確信しています。
そして、青年部員は魅力的な人材でなければいけません。経営者として一人の人間として誇れる人材になるべく自己研鑽に励み、新たな困難が立ちはだかった時に立ち向かえる備えをしている者こそが、これからの地域の発展の原動力となります。人格や資質を高める例会や事業を行い、YEGとして行う研修の意義を確認し、この地域の繁栄に貢献しましょう。
組織としての青年部と各部員を繋ぐうえで重要な要因に部員同士の結束力と会員拡大は必要不可欠です。定年制の組織の宿命とも言えますが、新たな会員を迎え入れなければ衰退してしまいます。では拡大の真のゴールはどこにあるかという事になりますが、それは自然に入会してくる環境を構築する事です。その為には入会希望者が何を欲し、何を望み、どのようなことに価値を見出すのかを熟知していなくてはなりません。この課題を解決するには我々が体現出来ていれば自然と入会してくる状態を構築することが出来るはずです。その鍵となるのは、結束力と笑顔の数です。笑門来福ではありませんが、人は楽しそうな事に惹かれます。これは我が国の神話にもエピソードがあるほどの真理の一つではないでしょうか。交流の中で多くの笑顔を作り、結束力が育まれ、そこに人が集い行動を起こせる組織へと進化していけるはずです。
その様な組織の運営に必要なのが情報です。現代社会において情報の早さと公開・発信は必要不可欠な物となりました。SNSや情報アプリはスマートフォンの普及と共に広がりビジネスや生活にも浸透しています。これら否定するのではなく受け入れ活用する事は組織運営だけでなく、各自の事業の成功にも繋がる要因になります。常に新鮮な情報の収集はもちろんですが、事業を運営するには効果的なコンテンツやアプリを使用し有効的な情報の発信の手法を得ることは成功への近道であります。情報を武器に共に情報社会の強者となりましょう。
結びに、我々はパンデミックを経験した事により様々な様式やルールが変わりました。この2年間は起承転結で言えば結の時代だったのではないかと考えます。次に来るのは新たな起の時代です。奇しくも八千代商工会議所青年部は30周年という節目の年、過去から学び感謝の念を持って次代へ歩を進める時が来ました。まだまだ何が起きるか分からない不安もありますが、青年部としての活動が地域に市民に、そして青年部内に活力や希望を与えられるよう邁進して参ります。
八千代商工会議所青年部 令和4年度会長 吉田 貴典